「それで、その話を聞いたシュンが、すげー問い詰めてきて。」
ぐだぐたと言い訳をするお兄ちゃんの背後には人影が見える。
「菜摘、久しぶり…」
顔を見せたシュンくんは、俯きがちで私が知っている明るさがなかった。
そして、私を見たとたん、一瞬の悲しそうな顔と共に視線をそらす。
……やっぱ、見せたくなかったなぁ。
その姿に、私は自分の手首を眺めた。
…1番細くてスタイルがいいって言ってた綾羽と比べても、大分細くなってしまった腕。
筋肉も衰退して、重たいものは何も持てなくなってしまった。
「シュン、ずっと心配してたんだ。」
申し訳なさそうに言うお兄ちゃんに、私は頷く。
「心配かけてごめんね、シュンくん。」
「ううん、俺も勝手に聞き出してごめん。」
そう言ったシュンくんは、やっぱり辛そうな顔をしていて、私は力なく笑う。