「なに…、何かあるの?」


私に尋ねられて、バツが悪そうに目を逸らす。


「悪い!!!」


次の瞬間、両手を合わせて、突然謝ってくるお兄ちゃんに、私は首を傾げた。


「実は、恭弥たちが菜摘のこと話してるときに通りすがって。」


その言葉に、恭弥ははっと呟く。


「…たっつー先生に聞いたあと、俺ら、廊下で話したよな。」

「話したねーっ」


ふふっと笑って頷く紗南に、私はため息をつきたくなった。