ーガラガラ…


静まり返った1人部屋で、ベッドに横たわる鈴ちゃん。

可愛らしい寝顔で、規則正しい呼吸をしている姿を見ると、さっきの大翔の言葉は嘘なんじゃないかって思ってしまう。

いまにも目を開けそうないつも通りの鈴ちゃんだった。


「…鈴ちゃん…?ごめんね、私……」


鈴ちゃんの手を固く握りしめて呟く。


どれだけの間、そうしていたんだろう、

握っていた手の上に、温かくて綺麗な、真っ白の手が重なる。


手の元を辿ると、大翔がさっきの辛そうな顔が嘘みたいに、

いつもと変わらない様子で微笑んで立っていた。

私を包み込むように肩へ腕を回し、隣に座った大翔。


「…鈴、早く目覚ましてよ」

「そうだよ、いつもみたいに笑ってよ…」


ーー私、鈴ちゃんの笑顔大好きなんだから。


やがて、鈴ちゃんの主治医の先生がやって来るまで、私たちは、そう祈り続けた。