「…ヴッ。…ゲホ、ゲホッ……!」

「わっ、なっちゃん!」


顔を勢いよく背けた反動で、激しくせき込んだ私に、葉瑠姉が慌てて戻ろうとする。

けど、それより早く大翔が駆け寄ってきた。


「菜摘!?大丈夫!?」


…大丈夫なわけないじゃん。

と、内心ではそんなことを思いながらも私は頷く。


「…ゲホッ…!!」


吐き気が酷くて、声が出せない。


「葉瑠さん、いつもこんなに酷いの!?」


慌てて背中をさすりながら、大翔が聞いた。


「…うーん。いつもの副作用だから。そろそろ収まってきてもいいんだけど…。

昨日寝てないのが、響いてるかも。」


葉瑠姉の言葉に、大翔は顔を曇らせる。


結局、副作用が収まってきたのは、それから大分経ってからだった。