「…ゲホッ、ゲホッ……!」
何度やっても慣れないこの辛さ。
苦しくて、気持ち悪くて、目には涙が浮かんでくる。
「なっちゃん!頑張れ!!ちょっとしたら楽になるからねっ!」
そう言いながら、背中を擦ってくれる葉瑠姉にはどれだけ助けられたか分からない。
治療をしてからすぐ。
副作用が一番キツいときには、いつもそばにいてくれる。
それだけで、すごく助けられているの、葉瑠姉に伝わっているかな。
ーーコンコン…
そのとき、ドアがノックされた。
私には返事をする余裕も開ける余裕もないから、葉瑠姉が代わりに返事をしてくれる。
「ごめんなさい、今はーー」
葉瑠姉の言葉が不自然に止まったことを不思議に思って顔をあげると、
ドアの向こうに、目を大きく見開いた大翔が立っていた。
私は、慌てて顔を背ける。