「…前の手術で、限界だったんでしょ……だったら、今の手術は…?」

「…容態が悪化して。最後の処置だって。無事でいられるギリギリのラインで手術を行うらしい。
これが、ダメだったら……。いや、成功する。鈴は頑張ってる。信じて待とう。」


握っている私の手に、大翔の力が加わる。


「…そ、うだね……。鈴ちゃんは、強いもん。治るよね…。ここから出てきたら、いつもみたいに、いつ、も……みたいに……。」


ーー笑ってくれるよね。


前回の手術のあとから、鈴ちゃんは病室から出られていなかった。


容態が悪化したとき、1人で戦ってたの?

あんなに小さいのに、たったひとりで。

鈴ちゃんをひとりにしないって約束したのに、

近くで支えようって思ってたのに。

ごめんね、私、最悪だね…。

鈴ちゃんは、いつも辛いとき私を笑顔にしてくれたのに。


「…ご、ごめ……。鈴ちゃ、ごめ…ん。」


泣き崩れた私を、大翔は黙って抱き締めてくれた。


「…大丈夫。鈴を信じて。」


そう言う大翔の体は震えていて、

幼い頃から病院にいていろんな現実を見てきた大翔のその姿は、もう、望みが少ないことを物語っていた。

私の目からは大粒の涙がこぼれ出した。