夏休み中のお兄ちゃんがお見舞いに来てくれていて、

私は体勢を起こしお兄ちゃんと話していた。


「みんな、元気?」

「おう、元気。…でも。」


お兄ちゃんは、読んでいた本を閉じて呟く。


「もうみんな、勘づいてるよ。」


私は、小さくため息をついた。


…まあ、そうだよね。

正直、隠し通せるとは思ってない。


用事と言っても、お兄ちゃんは今まで通り学校に行ってるわけだし。

休む期間が長すぎるし。

そもそも、球技大会で倒れて以来だし。


でも……会いたくない。


髪の毛は、完全に抜け落ちた。

健康だったときから、体重もかなり減った。


こんな、弱い姿、絶対に見せられない。


「…ごめん、お兄ちゃん。嘘つくのも辛いよね、でも…。」


そう言った私にお兄ちゃんは諭すように口を開く。


「菜摘…」

ーーーガラッ


お兄ちゃんの言葉を遮るように、突然病室のドアが開かれた。