「立花菜摘さん、3番へどうぞ。」


看護師さんに呼ばれて、私とお父さんは3番の診察室へ向かった。

診察室には、新川先生と、横に立っている葉瑠姉もいた。


「どうすることにしますか?」


最初から直球で聞いてくる新川先生にうっと詰まる。


「もちろん手術を受けます。」


私の代わりにというふうに、言うお父さん。


「…手術でいいんですね、菜摘さん?」


私の意思も確認してくれる新川先生の声。

私は顔をあげて、新川先生の目を見た。


そして、ゆっくりと首を振る。


「受けたくないです、記憶障害のリスクが本当に嫌なんです…」