そんなに走ってないのに、緊張していたのか息が切れる。




思ってもない言葉まで言ってしまって、今更後悔するけど。





でも、言った。




ちゃんと。




やっぱり、思い出すのは綺麗な黒髪。




太陽に煌めく、




水が光る、




泡の中から伸ばされる綺麗な腕、




たまに見せる明るい笑顔。




いつも、私は波人でいっぱいだ。




悩むことなんてなかった。




私の弱い心が、ちょっと迷いがあったのは優しくされてしまったから。




だから、




「冬羽。」




そう、言わなきゃいけないの。




「早輝。」




私にそっと近づく早輝。




「ごめんなさい。、、、私やっぱり波人のことが好きなの。だから、早輝に気持ちに答えられない。」





正直な気持ち。




振るのはこんなにも心が痛い。




「うん。分かってた。、、、知ってたよ。」





ちゃんと言ってくれて良かったと、早輝は儚く笑う。




また涙が零れたけど、ここで泣くのはずるい。





だから、必死に涙を止めた。





「これからさ、友達でいよ。、、、急に気まずくならないでよ。」





「うん。分かった。」