[音楽ファンの平凡なストーリー]

イデアルと長月遥は自宅でゴールデンボンバーについて意見交換をする。

「ゴールデンボンバーは2017年に#CDが売れないこんな世の中じゃ、をテレビで歌い、SNSトレンド一位になりました」

長月遥はつづける。

「当時はすでにSpotifyはあり、サブスクリプションに音楽の仕組みが徐々に移行していたのです」

イデアルが指摘する。

「たぶんゴールデンボンバーの根っこにあるのは、音楽の動向を冷静に指摘することだと思うな」

「そうですね。
それは断言しかねますが、今来歴を調べてイデアルの考察も少し理解できます。

つまり音楽家のなかにあって、いわばゴールデンボンバーは音楽を良い意味で、かき回したのでしょう。だからこそ」

続ける。

「私が音楽の購入の増産に踏み切ったのは、ゴールデンボンバーのテレビ出演の影響なんです。
こころが動かされた、ということかもしれませんし、あるいは危機感を感じたためかもしれません」

イデアルは沈黙し聴く。

「そして、それがささやかな成功体験に繋がったのです。
ね、音楽ファンの平凡なストーリーでしょ」