[断章-チャガタイの紋章-]

谷筋を冷えた風が吹いていた。

旅人、遠国(おんごく)は葬儀がナジャの峡谷でおこなわれているのを見る。

照らす太陽に冷えた風が土の香りを運んできた。葬儀の列だ。

棺が運ばれている。遠国は遺伝子を思い出し(ひざまず)く。
礼儀である。

葬儀の列は近隣の村から出たようだ。参列者が谷間を徒歩(とほ)で進んでいく。

密使ユエが遠国と同様に跪いた。