「ねえ、真宮」


「え?」



大事そうにノートを抱えて席へ戻ろうとする真宮を引き止めた。


真宮は心底驚いたように振り返って、キョトンと目を瞬かせる。


それからなぜだかとても嬉しそうにパッと顔に花を咲かせて、抱きつかんばかりにこちらに乗り出してきた。



「なになに、柾樹!」


「いや、その……」



あ……ヤバい。


引き止めたは良いものの、なにをいえば良いのか、自分がなにが言いたかったのかが一瞬にしてわからなくなった。


もともと口下手なのも相まって、言いたい言葉はすぐそこにあるはずなのに、喉の奥にひっかかって出てこない。