「なんで僕が……」


「彼氏だからに決まってるじゃん!」


「いや彼氏じゃないって……」



そして真宮ゆずにおいてとにかく厄介なのがこれだ。


なぜか僕が、彼女のなかで勝手に彼氏扱いになっていること。


もちろん僕にそんなつもりはこれっぽっちもない。


そもそも付き合っているとかいないとかの次元の話ではないのだけれど、とにもかくにも二言目には『彼氏じゃん!』がついてくる。


だいたいにして彼女と同じクラスになったのは今年がはじめてで、まだせいぜい三ヶ月の付き合いといったところ。


わりと始まりたての頃からなにかと絡まれていたような気もするけれど、この三ヶ月の間に告白だとかそういうものがあったわけでもない。


なのに、本当にいつの間にか、気づいたら僕が彼氏設定になっていた。