そんなの、悲しすぎる……。


美佳をはじめとした女子友だちはみんなして『なんで瀬河?』と口を揃えて言うけれど、そんなのあたしからしたら愚問でしかない。


そりゃたしかに、柾樹はモテないけど。


あたしよりちっちゃいし、運動できるわけじゃないし、前髪が長いせいで見た目だってパッとしないけど。


それでも好きになっちゃったものは仕方がないじゃないか。



「もうどうしよ〜〜美佳〜〜〜」



美佳に助けを求めて抱きつこうと手を伸ばした瞬間、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。



「そういえば、ゆず」

「ん?」

「数学の宿題、やったの?」

「…………はっ!!!」



美佳に言われて思い出す。

そういえば、次の数学は宿題が出ていた……かもしれない。


数学が嫌いすぎて家に帰っても教科書ひとつ開かないあたしにとって、数学の宿題というのは非常に忘れやすい案件だ。


しかも、今日はたしかあたしが当たるばん……。


まずい!!!