その姿を見て、ふと。

ストンッと、なにかがハマった。


……あぁ、そういうことか。



「真宮、気にしなくていいよ」



僕はきっと、この子を悪者にしたくないんだろうな。


どんなにこき使われてもからかわれても、振り回されている間に向けられた笑顔を否定するのが嫌なんだ。


あれがすべて、演技だと。

作り物だと言われるのが……怖い。

……たとえ本物の彼氏ではないとしても。


勉強しか能がなかった僕の世界をとてつもなく強引に切り開いたのは間違いなく真宮で、

そんな彼女を上っ面では否定しながらきっといちばんに彼女を求めていたのは、僕。


そしてこの心の中のトゲのような気持ちは、恐らく“嫉妬”というやつだ。