「いやぁ、すまんのぉ」

 お邪魔虫に鳴き声があるとしたら、こんなしわ枯れ声をしているのだろう。
 割って入ってきたのは、

「あ、社長」
 愛里はぱっと手を振りほどく。
 さっきまでとはまた別の意味で顔に血が昇っていく。

 きゃー何やってるの私!!!!! 恥ずかしい! 社長の前で!!

「ワシ、忘れられてたかな、いや、すまんな」

 すみません、正直忘れていました。本当に申し訳ありません社長。