「ひっ……」

何とか交わし、立ち上がった俺。
出口に向かって走った。

よく考えたらそうだ。
テマリは学校1の美少女で、俺と付き合う前は、いろんな奴から「片倉 天毱の彼氏になった」という自慢話を聞かされた。
でも、テマリと別れてからのそいつらを、俺は一度も見ていない。

つまり…


グサッ


背中に走る激痛。
扉の前で、俺は倒れ込んだ。

「っ……てま…り……」

近づいてきたテマリが、俺の背中に刺さった包丁を引き抜いた。
うめき声をあげる俺。
溢れる鮮血。

「逃がさないよ?カミトは私のだもん。私だけのカミトなんだもん。ここから外に出て、他の奴と幸せになることなんて絶対にさせない。」