小学生の頃、身体が弱く病気がちだった耀は、皆が外で遊んでいても、いつも教室でおとなしくしている子だった。

それがとても儚げな雰囲気で、決して頼もしいとは言い難い、城の中で守られている王子様のようで。私はそんな彼を、別世界の人間みたいに思っていた。

しかし、今目の前にいる彼からはまったく逆のものを感じる。

生き生きと情熱を秘めた瞳で、一企業のトップを相手にしても怯むことなく、自分の意見を述べる。その姿を、素直にカッコいいと思った。

十五年以上経っているのだから成長していて当然だとしても、ギャップに戸惑う。

つい仕事のことから思考を逸らしてしまっていたとき、久礼社長に電話が入ったとスタッフに呼ばれ、彼は断りを入れて席を外す。ちょうどキリよく話がまとまったところなので、今日の打ち合わせはここまでにすることになった。

出されていたお茶をいただく私たちに、耀が引き締めていた表情を崩して和やかに言う。


「サンセリールさんの商品は本当に美味しいですよね。Akaruも以前から好んでよくいただいているので、すでにイメージは湧いてきているかもしれません」