「ユマツヅミさまの御前で、いったい何をしているんだい」
凛とした、でも包み込むような優しさを帯びた声が、辺りに響いた。
そして人だかりがすっと開けると、そこには三門さんが立っていた。目が合えば、彼は驚いたように目を丸くした。
「三門さまだ!」「三門さまよ」「なぜ三門さまが」
その名を呼び、ざわめく声。
三門さんがこちらへ歩みを進めれば皆が頭を下げ、道を開ける。
そして私の前まで歩いてくると目線を合わすようにしゃがみ込み、困ったように眉を下げて笑った。
「驚いたよね、すぐに気が付けなくてごめんね。もう安心して。『大丈夫、大丈夫』」
ぽんと頭に手が乗せられると緊張が解け、力が抜けたように三門さんの方へ倒れ込んだ。

