あやかし神社へようお参りです。



 そう言って、小豆の笊に手を伸ばした祖母は「あら?」と首を傾げる。山盛りにして置いてあったはずの小豆が、一粒残らずなくなっていたのだ。不思議そうに首を傾げて、きょろきょろと当たりを見回したその時、


 「あいたっ」


 少女が突然、声をあげた。目をぱちくりと瞬かせて脳天を押さえると、髪に大きな粒が混じっている。つまんで顔の前まで持ってくると、それは小豆だった。


 「みておばあちゃん! 小豆、小豆が振ってきた!」

 「まあ、さては家鳴の仕業ね」


 祖母はそう言ってふふ、と笑うと、裁縫箱を片付け始める。少女の見開いた目が徐々に輝きを増していく。


 「家鳴って、妖? 何の妖? 妖が私のそばまで来ていたのね!」


 少女は勢いよく立ち上がると、天井を見上げながらその場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。そんな少女を、祖母は優しいまなざしで見つめていた。


 「真由美ちゃんは妖が大好きなのね」

 「うん、大好き! でもおばあちゃんはもっと大好き!」


 妖と縁のある家系に生まれながらも、その存在を目にすることのできなかった少女は、だからこそ人一倍に妖に親しみを持っていた。その存在を愛し、家系が引き継いだ力を尊敬していた。

 そして、その力が授からなかった自分を恥じ、疎外感に苦しんでいたのだ。