「随分と気に入られているんだね。ずっと肩に乗っていたよ」
そう言って何かを差し出す。首根っこを摘ままれた家鳴だった。慌てて両手をお皿にして差し出す。すとん、と家鳴が私の掌の上に尻もちを付いた。よく見ると、二本の角の片方が少し欠けている。昨日の晩に、私の膝によじ登ってきた家鳴だ。
それじゃあ、と片手をあげた大輔おじさんは階段を降りていく。その背中を最後まで見送ってから、家鳴に視線を落とした。
「いつからそこにいたの……?」
そう尋ねてみる物の、やはりきゃいきゃい、と可愛らしい鳴き声をあげるだけだった。
「な……ぁっ」
家鳴が何かを喋ったように思えて顔を知被ける。家鳴は側へ寄ってくると、その小さな手で私の頬を擦った。
「な、な……なーなっ!」
「なな? 数字のななってこと……?」
ぶんぶんと首を振る家鳴は、またきゃいきゃいと鳴き始める。わからないよ、と首を傾げるもまだ何かを訴えるように必死に私に手を伸ばした。

