言霊の力が現れた日のことを思い出した。化け物を見るように私を睨むお母さんの目が鮮明に思い出されて、目頭がカッと熱くなる。
もし、この力がおじいちゃんによって封印されていなかったら。そんなことを考えると、喉の奥がきゅっと苦しくなった。
「お母さんを嫌いにならないであげて。お母さんから逃げないであげて」
しっかりと私の目を見てそう言った大輔おじさん。目を反らすことができないほど、真剣な目をしていた。
「でも……でも、お母さんは私のこと、」
化け物を見るような目で見たんです。お母さんは私のことを憎んでいるんかもしれないんです。
言葉の続きが出てこずに、代わりに涙が頬を伝った。慌てて俯き袖できつく抑えると、頭に大きな掌が乗せられる。
「言霊の力は、口に出してしまえばなんだってできるけれど、敵わないものもあるんだよ。とくに、生き物の愛情にはね」
ここでいいよ、ありがとう。大輔おじさんはそう言って足を止めた。
「それから最後に」
そう言って手を伸ばしたおじさんは、私の顔の横に手を伸ばした。

