「そう言えば、みくりとふくりがいなかったけれど、昼間からどこへいったの?」
「えっと、三門さんのために、幽世に薬草を取りに行っていて……」
「もしかして、木霊の瘴気を吸ったの?」
え、と目を見開くと、おじさんは苦笑いを浮かべた。
「魑魅の一件があったとき、三門が文献を借りに何度か実家へ来ていたから、話を聞いていたんだ」
たしかにあの頃の三門さんは、よく朝から社を開けていることが多かった。そうか、実家に帰っていたんだ。
あれ、実家……?
「ええと、神社のほうの自宅は……」
「もとはみんなここに住んでいたんだよ。でも、神主が代替わりすると、先代の神主とか、その家族はほとんど出ていくんだ」
どうやら、松野家の次男である私のおじいちゃんが長男の智明さんよりも先に神社を継ぐことになり、それを機に家を移ったらしい。
おじさんは「身内って、ついついこうるさくしちゃうから」と肩を竦める。

