外に出ると、三門さんが大きなボストンバックを持って待っていた。
「圭太さんと真由美さん、泊っていくって。もうすぐ上がってくるよ」
その言葉にばくんと胸が大きく鳴った。思わず掌をぎゅっと握りしめる。
三門さんが私の前まで歩み寄ってくる。ボストンバックを片手で抱え直すと、反対の手で自分の頬をにっと持ち上げる。
「麻ちゃん、険しい顔になってるよ。大丈夫、きっと全部うまくいくから」
階段からひょこひょこと頭が見えた。お父さんだ。お父さんは階段を上り切ったところで振り返った。誰かに向かって手招きをしている。
胸の鼓動がうるさかった。
その時、サアっと冷たい風が吹き抜けた。鎮守の森の木々たちが、葉の一枚一枚を踊るように体を揺らす。まるで再開を喜ぶかのように、葉音を立てて宙に舞った。
ゆっくりと階段を上ってくる人影。そして登りきると、その人は俯いていた顔をあげた。
目が合う前に反らしてしまった。喉の奥が苦しくなって、唇を噛み締める。

