少し寂しそうに言った大輔おじさんは、ふと視線を本殿の扉へ向けた。
「噂をすればなんとやらってね。三門、荷物があるみたいだから下まで迎えに行ってあげなさい」
ひとつ頷いて立ち上がった三門さん。早足で本殿を後にした。
訳が分からずに首を傾げていると、大輔おじさんが私に向き直る。思わず背筋が伸びた。
「麻ちゃんと同じ。これは僕のもうひとつの不思議な力だよ」
はっと息を飲む。
そうだ、知らないはずがない。
結守を継ぐ松野家の血筋に生まれると特別な力を持つことになる。大輔おじさんも間違いなくそのひとりだ。
「これは物見の力。言い換えると、“千里眼”ってところかなあ」
物見の力、千里眼。言霊の力の他にもそんな特別な力があるなんて知らなかった。

