「小さな鬼の妖だよ。家の天井とか廊下が軋むときは、だいたいこいつらのせい。悪戯と子どもと、お菓子の食べかすが大好きなんだ」
家鳴と呼ばれたそれらは、きゃいきゃいと三門さんに向かって何かを訴えている。不貞腐れた顔で、その場に胡坐をかいているものもいた。
「残念でした、これで五十一勝四十九敗。まだ僕がリードしているよ」
「リード? 競争でもしているんですか?」
「お互いに悪戯を仕掛け合っていてね。家鳴たちが百勝したら、ドールハウスを買ってあげることになってる」
確かにドールハウスなら、家鳴たちの大きさにぴったりかもしれない。
そんなことを考えていると、他にも箪笥の陰に隠れていた家鳴たちがわらわらと出てきた。私の膝をよじ登ろうとするので手を貸してあげたら、大きな目を糸のように細くして嬉しそうにきゃいきゃいと声をあげる。
小さな指で私と三門さんを交互に指差して、肩を竦めた。一体何をいっているのだろうか、と首を傾げる。
「おおかた、“三門と比べると大違いだ、この子はとっても優しい”とでも言っているんだろうね」
うんうんと頷く家鳴の額をツンと突いた三門さんは、「お前たちが悪さをするからいけないんだぞ」と呆れたように息を吐いた。

