またちらりと振り返ってみるが、やはりそこには何もなくいつもの風景が広がっていた。首を傾げながら体の向きを戻したその時、
「くふふ」「ふふっ」隙間風の音に混じって、小さな笑い声が聞こえた。
勢いよく振り返ったその時、棚の置物の陰で何かが動いたのが見えたような気がした。
針山に針を戻して、勢いよく棚に近付く。片っ端から物をどかしていくが、やはり何も見つからない。
眉根を寄せながら首を傾げたその時、こつ、と畳の上に何かが落ちる音がした。つられるように視線をやったその先に、茶色い粒が落ちている。つまんで顔の高さまで持ち上げると、それは小豆だった。
「小豆……? あ」
それには見覚えがあった。
座っていた場所に戻って確認し、「やっぱり」と呟く。ババから貰ったお小遣いで買った、小豆洗いの小豆だ。お手玉に入れようと思って、縁日で買ったのはつい三日前のこと。
「どうして……?」

