「ふたりとも早起きだね」
「三門のために薬草を摘みに行くって、みくりが煩いんだよ」
「だ、黙れ! 私はそんなこと一言も言っていないぞっ」
みくりがきゃいきゃいと吠える。微笑まし気にそれを見守る。
「瘴気にも中てられているはずだろうから、長々と倒れられていては神使の我々が困るんだ! 他意はないっ」
そう言ったみくりに、私はハッと息を飲んだ。
そうだ、魑魅の一件で私も瘴気を吸って長い時間眠っていたんだ。それなのに三門さんは一睡もせずに大晦日から三箇日を過ごした。きっと体はとうの昔に限界を超えていたはずなのに。
「みくり、私にも何か手伝えることとかないかな」
「ない」
即答されて、がっくりと肩を落とす。ふくりが「またお前はそんな口をきいて!」と毛を逆立てた。
「妖の毒に効くものは妖の世界にしかない。人間は帰ってこれないぞ」
みくりはすっと目を細めて低い声で言った。その瞬間、背筋に冷たいものが走る。

