三門さんが出て行った方を、ババが心配そうに見つめる。
「あたしはあの子が体を壊さないか、毎年ひやひやさせられているんだよ」
ババは深くため息を吐いた。
「毎年三箇日が明けた翌日から、下手すりゃあ三日間は眠り続けるんだよ」
「み、三日間も……?」
「眠れない夜がつづくからねえ。普段からきちんと眠る時間を取れていない子だから、どっと疲れが押し寄せるんだろうよ」
ババは三門さんが使った食器を盆に乗せて立ち上がると、また台所へ消えていった。
そして三門さんに言われた通り少し時間を空けて授与所に向かった。少し気まずい気持ちを抱えながら中へ入ると、丁度ろくろ首の明里と篠が入れ替わるタイミングだったらしい。
目元が少し赤くなった篠が私を睨みつけると、早足で横を通り過ぎて行った。
「女の恨みは恐ろしいんだよ、特に妖の女はね」
含み笑いを浮かべた明里。そして「さて、どうやって三門に見つからずに逃げ出そうかね」と呑気に大きな欠伸をした。

