え、と言葉を失った。確かに三門さんが唱える祝詞のような心地よさは感じなかったが、まさか逆の効果が生じていたなんて微塵も思わなかった。
「それで、今は」
ババが表情を曇らせると、三門さんは安心させるように微笑んだ。
「もう大丈夫だよ、そこまで強いものではなかったから」
「そうかい。しかしまあ、開門祭で娘役をやってからか、妙に背伸びをするようになったとは思っていたんだが、まさかそんなことのなるとはね。しっかり叱っておかないといけないよ」
「分かってる。今から篠の所へ行ってくるよ」
ふうと深く息を吐きだした三門さんがくるりと背を向けた。ババが慌ててその袖をつかみ動きを制する。
今度は三門さんが不思議そうな顔をして振り返った。
「今朝から何も食べてないだろう。雑煮があるから食べていきな」
「後で食べるよ、今は時間がないから」
「そんな青い顔で何言ってんだい。今食べるんだ」
きっぱりと言い切ったババに三門さんは苦笑いを浮かべた。困ったように首の後ろを擦ってから「分かったよ」と肩を竦める。

