「ここにいたの!」
「は、はい」
「気分悪いとかない⁉」
「えっと……特には、ないです」
三門さんは額に手を当てて、安堵したように大きなため息を吐いた。
怪訝な顔をしたババが何かあったのかと尋ねると、一段と真剣な表情を浮かべて一つ頷く。
「気分が悪いって言う参拝者がたくさん出たんだ。状況を辿ったら、授与所で篠が祝詞をあげたらしいね」
「あ……はい、そうです」
何も見ないで長い祝詞をすらすらと暗唱していた姿は記憶に新しい。自分のふがいなさと同時に、同い年なのにすごいなあ、ともひそかに思っていたのだ。
「いい機会だから麻ちゃんにも教えておくね。祝詞は、たった一ケ所を唱え忘れるだけでも、発音を少し間違ったりするだけでも、その逆の効果を引き起こすことがあるんだよ。篠の場合、祝詞を一文飛ばしてしまったから、浄化するはずが汚してしまう効果が出たんだ」

