畳み終えた洗濯物を抱えて居間を出て行ったババは、しばらくしてたくさんの糸と真ん中に穴の開いた小さな木の椅子のようなものを抱えて戻ってきた。
そしてカラフルな紐をいくつか私の前に並べる。思わず「うわあ……」と感嘆の声をあげた。そんな私の反応に、ババは得意げに笑った。
「可愛いだろう。組紐って言うんだよ。御神刀さまだったら、藤に金、あとは黒だね」
糸の束から数本色を選んで取り出したババ。木の台にそれを仕掛けると、慣れた手つきで紐の位置を入れ替えたりしていく。すると、開いた丸い穴の下から、カラフルな一本の紐が出来上がっていった。
「すごいっ」と声をあげると、ババはカラカラと笑う。
「そんなに近付いたら、額をぶつけるよ。やってみるかい?」
「で、できる?」
「簡単さ」
ババが自分の座っていたところを少しずれて、座布団を叩く。ドキドキしながら促されるままに座ったその時。
「麻ちゃんいる⁉」
居間の障子がスパン! と勢いよく開いた。ババとふたりして「ひゃっ」と声をあげる。
三門さんが肩で息をしながらそこに立っていた。

