ただいま、と言いながら廊下を歩いていると今の方からババの返事が返ってきた。顔を覗かせると、せっせと洗濯物をたたんでいた。
「あれ、三門さんはまだ帰ってきてないんだ」
「三門? ずっと帰ってきていないよ」
ババを手伝うべく向かいに座って、まだ畳まれていない洗濯物を手に取った。
「三門さん、私を探していたみたいなの」
「何かあったのかい?」
途端不安げな顔をしたババに慌てて首を振る。
「きっと何か用事があるんじゃないかな。あ、そうだ。ババ、何か細い紐とかないかなあ」
何に使うんだいと聞かれて、手ぬぐいで包んで袂に入れていた切羽をババに差し出した。円禾丸に会ったこと、切羽をもらったことを順に話していく。するととても驚いた顔をした。
「良いものを貰ったんだね。御神刀さまに守られているのと同じくらいの意味があるよ」
「そ、そうなの……? 円禾丸って強かったんだ」
「そりゃあユマツヅミさまの刀だからね。御神刀さまの切羽か、それじゃあ組紐を作ってあげようかね」

