「して、お前は一体こんなところで何をしていたんだ?」
「あ、その……」
うん? と顔を覗き込まれる。
先ほどの一件をぽつりぽつりと円禾丸に話すと、途端彼は腹を抱えて笑い出した。
「なるほど、三門も罪な男よ」
「え? どうして三門さんが出てくるの?」
「なんと、お前も分かっておらなんだか」
あまりにも笑い続けるものだからむくれていると、また悪びれた様子もなく「すまんすまん」と円禾丸が片手をあげて謝る。
息を整えるようにはあ、と息を吐いた円禾丸は、まだ緩む頬で私と向かい合った。
「なに、篠という妖狐がお前に強く当たるのは、お前のせいではない。だからそう落ち込む必要はないぞ」
「でも、私が失敗したから」
「始めからなんでもできてしまう奴などそうはおるまい」
励ますように私の肩に両手を置いた円禾丸はにっこりと微笑む。
「上手くいかなくてもよい、しかし決めたからは最後までやり通すのだ」
わかったな、と力強く聞いてきた。しっかりとその目を見つめながら頷く。なんだか少し心が軽くなった気がした。

