風呂敷を軽く掲げた三門さん。中身はお札が入っているのだとか。
「場所は紙に書いてあるし、お家の人がいないみたいだから縁側にそっとおいてくるだけでいいんだけど、いいかな」
そう言われてほっと胸をなでおろす。
行きます、と意味を込めて両手を差しだせば、三門さんは申し訳なさそうに箒と風呂敷を交換する。
「そうだ。ついでにおもてら町を探検してくるといいよ。あ、迷子になった時のために携帯電話は持って行ってね。それとお昼ご飯までには帰ってくること、いい?」
私の肩に羽織を掛けてくれた三門さんは、少し心配そうに私の顔を覗き込む。
「ごめんね、これから御祈祷の予約があって、どうしても手が離せないんだ」
私が小さく首を振ると、三門さんは安心したように眉を下げて笑った。

