あやかし神社へようお参りです。



 「まだ始まらないの?」

 「あと一時間くらいは始まらないよ」

 「じゃあ遊びに行こうよ、巫女さまもケヤキの兄ちゃんも一緒に!」


 ケヤキの背中をよじ登る子どもたち。ケヤキが子供たちを抱えて立ち上がれば、きゃあっと嬉しそうに笑い声をあげた。


 「でも子供たちはまだ眠る時間でしょう。夜更かしをしては、立派な妖になれませんぞ」

 「だいじょうぶ、昨日は早くに寝たんだよ。かあさまにもちゃんと言った!」

 「そうだよ、三門さまに叱られないように、ちゃんと言ったの!」

 「ねえ、いいでしょー?」


 子どもたちに袖を引っ張られ、ケヤキは「分かった分かった」と苦笑いを浮かべる。


 「巫女さまも遊ぶの!」


 駆け出した子供たちは、社務所を飛び出す。五秒もしないうちに「まぶしいーっ、死んじゃうよ!」と泣きべそをかきながら戻ってきて、ケヤキと顔を見合わせて笑った。