茶碗に手を伸ばしかけていた三門さんは、ピタリと手を止めて姿勢を正した。ケヤキの表情がわずかに曇ったの分かった。
「今朝、町の様子を見てきたんだ。作物が枯れて、子どもたちの間では病気が流行っているらしい」
「魑魅の瘴気の影響ですね」
すかさず口を挟んだケヤキに、三門さんは険しい顔で頷いた。
聞き覚えのある言葉に記憶をたどれば、昨日ババが言っていたことにたどり着く。
「魑魅が発している空気みたいなものだよ。それを吸うと、人も妖も、何らかの悪い影響を受けてしまう。例えば今回の不作や、子どもたちの病気みたいに」
説明を聞きながら思い出す。
そうだ、ババは“まともな生き物に悪影響を与える”と言っていた。

