台所で忙しそうに動き回る三門さんに声をかけるわけにもいかず、そわそわしながら布巾でテーブルを拭いていると、ケヤキが居間に顔を出した。
「おはようございます、麻どの。お手伝いすることはありますかな」
いつもと変わらず優しげな笑みを浮かべるケヤキに、自然と顔が強張る。
そんな些細な変化も見逃さなかったケヤキは、不思議そうな顔で私の側によってくる。
「いかがなされた?」
「あ、いや、な、なんでもないんです」
「嘘おっしゃい。私の兄弟も何かあるときは、今の麻どののような顔をしていましたよ」
鋭いなあ、と心の中で呟いて苦笑いを浮かべた。

