顔を赤くしながら小さく頭を下げれば、三門さんは「分かればよし」と冗談っぽく笑う。
「ああそうだ、さっきまで出かけていたから、今から朝ご飯をつくるんだ。朝ご飯、いつもより遅くなっちゃうかも、ごめんね」
早口でそう言った三門さんは横を通り過ぎながら、私の頭に手を乗せる。
懐から出した白い紐で、器用にたすき掛けをしながら早足で歩いていく背中を慌てて呼び止める。
「あの、三門さんっ」
声を張り上げれば、不思議そうな表情で三門さんが振り返った。
「お話したいことがあって」
「あれ、実は僕もなんだ」
お互いに目を瞬かせる。
「ご飯の時に話すよ。麻ちゃんの話したいこともその時に聞かせてね」
そして続けざまに「直ぐご飯作るから」と言うと、早足で歩いていった。

