社務所の外に出た。
雪はもう降り止んでいたけれど、頬を突き刺すような風が強く吹き付けていた。
首を縮めながら賑わう参道の方へと歩みを進める。
妖たちと談笑したり店を見て回っていると、御神木の下に人影を見つけた。
根元に片膝を立てて座り込み、憂いを帯びた若葉色の瞳が月をぼんやりと眺めている。
そっと彼に近付いていけば、誰かと談笑する声が聞こえる。
気配を感じとったのか、月を見上げていたケヤキは視線を下ろした。
「────麻どのか。どうなされた」
「あ……その、話し声が聞こえて」
納得したように頷いたケヤキが傍らのお銚子を軽く掲げる。
「こやつと話をしながら飲んでおりました」

