その背中を見つめながら、手が小刻みに震えていることに気が付いた。祈るように手を合わせ、力を込めて震えを堪える。
鼓動が、いつも以上に早く波打つ。
「あれ、麻ちゃん。もしかして、神楽殿の場所分からなかった?」
じゃ、じゃ、と砂利の踏みしめられる音がして、背後から声がかけられる。
青い顔で振り返れば、そこに三門さんが立っていた。白い狩衣に、黒い長方形の帽子をかぶり、手には笏を持っている。
ゆっくりとした足取りで歩み寄ってきた三門さんは、私に近づくなり少し困った顔をする。
「……ここで、誰かに声を掛けられたんじゃないかな?」
小さく頷けば、三門さんは困ったように笑ってため息を吐いた。

