「あ、そうだ、丁度いい。麻ちゃん、今から少しだけいいかな」
ぽんと手を打った三門さんに、不思議に思いながらも頷く。
社務所の柱時計を見上げながら、「もうそろそろ来る頃だと思うんだけど」と呟く。
その数秒後、「ごめんください」という声が扉の前から聞こえた。
来た来た、と腰を上げた三門さんは返事をしながら扉に向かう。
「いらっしゃい。待ってたよ」
扉を開けた先で待っていたのは、巫女装束を着た妖だった。
白い獣の耳が生えた、見覚えのある女の子。真っ直ぐに伸びた黒髪を一つに束ね、優しそうな顔つきだった。
「こんばんは、三門さま」
鈴のような可愛らしい声に、「あっ」と声をあげる。開門祭で娘役を演じていた妖狐の女の子だ。

