しゃがれた声で驚いたような声をあげたおばあさんは、細い目を見開いて私を見つめる。
「こりゃ驚いた! 三門の坊やが全くこのババに会わせようとしないから、本当は来ていないんじゃないかと疑っていたんだよ。やあやあこれは……、早起きは三文の徳とはよく言ったものだねえ」
しゃがれた声とは反対に威勢の良い喋り方に、私の方が慄いた。
おばあさんは嬉しそうに破顔すると、私を手招きする。足元の三毛猫がその目を細めてブニャアと鳴く。
どうしよう、と視線を泳がす。
そして優しい笑顔に導かれるように、おばあさんの側に歩み寄った。
しわくちゃの少し冷たい手が私の頬を優しくなでる。

