「お、あったあった。良かった、虫食いもなさそうだね」
社務所兼自宅の二階の物置部屋で、押し入れに頭を突っ込みごそごそと何かを漁っていた三門さんは嬉しそうに声をあげた。
ずるずると這って出てきて、ひとつの木箱を取り出す。
袂から取り出した手ぬぐいで木箱の埃を拭うと、三門さんは蓋を開けた。
「巫女装束の白衣(はくえ)に緋袴、それから千早だね。これは神楽や巫女舞を踊るときに羽織るものだから、今は必要ないかな。お、腰ひもに伊達締めも揃ってるね、ありがたい」
真っ白な浴衣みたいなものが白衣、そして朱色の袴。胸紐のある白い羽織のようなものが千早というらしい。

