「も、もう一度、教えてくれるかな」
「蓬莱の玉の枝の簪! きらきら光るとっても綺麗な枝でできてるんだ」
「ろくろ首の明里が持っているよ。この前、僕のお母さんに自慢してたのを見たもん!」
思わぬ情報に、目を見開いた。
身に着ければ、人にもその姿を見せることができる簪。本当にそれがあるのだとしたら、葵の願いをかなえてあげることができる。
高まる気持ちを堪えきれず、身を乗り出す子供たちの手をきゅっと握りしめてお礼を言う。
嬉しそうに破顔した子供たちは「境内にいるかもしれないよ」と私の手を引き走り出した。

