けれどどうして私はこんなにも、妖たちのことを覚えていないのだろうか。
五歳ごろの記憶なら多少曖昧な部分もあるけれど、覚えていることだってある。
けれど三門さんや妖についてのことは、これぽっちも覚えていない。
本当に覚えていなかっただけなのだろうか。
「参道へ行ってみようか。出店がたくさんあって楽しいよ」
そう言ってまた私の手を取り歩き始めた三門さん。
たくさんの妖が三門さんの姿を見るなり頭を下げて声をかけてくる。
三門さんはひとりひとり丁寧に返事を返しながら、交流を楽しんでいるように見えた。
「あらやだ、三門さまじゃない! 社頭にでてくるなら、昨日のうちに言っとくれっていつも言っているじゃないの!」

