「葵は手当てが上手だね」
「お前がしょっちゅう傷を作るからだろ」
岩に腰掛けた少年の前に立ち、綺麗な手ぬぐいをくるくると巻いていく。
できたぞと呟いた少女は、「これで仕上げだ」と手ぬぐいをまかれた場所を容赦なく叩いた。
「あいたっ、相変わらず容赦がない」
顔を引きつらせて腕を擦る少年。少女は無言で隣に座る。
「でも、葵に手当てされるようになってからは、なぜか傷の治りが早いんだよね」
「そりゃそうだろうな、私の得意技なんだから」
ふん、といつも通りに鼻を鳴らした少女。少年は安心したように息を吐いた。
そして沈黙が流れる。
ふたりの息遣いと川のせせらぎだけが聞こえる。先にその沈黙を破ったのは、少年だった。

