「……っ、なんでだよ! こんなことされてまでされて、黙っとくのかよ!」
「黙っとくよ」
「じゃあせめて、こんな風になる前に、私に「助けて」って言えよ! 師匠は弟子を助けるもんだろ!」
「言わないよ」
手首をつかむ力が強まる。その力に、少女は驚いた。
少し前までは、木の枝にさえぶら下がれなかった少年が、いつの間にこんなにも力強くなっていたのか。
「僕は、葵が傷付く姿をみたくないんだ」
言葉が詰まった少女。真っ直ぐに見つめてくる視線から、ふっと顔を反らす。
「手当、してくれる?」
柔らかく微笑んだ少年は、手の力を緩める。細い手首はするりと手のひらから抜ていく。
少女は俯くように、小さく頷いた。

