「ちょっと難しかったかな。そうだなあ、簡単にいうと、麻ちゃんが麻ちゃんでいること、僕が僕でいることは、生きていく中で地図になる。その地図を取り上げてしまえば、どこへ向かへばいいのか分からなくなってしまうだろう? 葵を人にすることは、地図を取り上げてしまうことと同じなんだ」
そんな、と小さな声で呟いた。
「妖を人に、人を妖に変えることは禁忌。絶対に関わってはいけないよ」
電子レンジが音を立てて止まった。
あちち、と零しながら中からお皿を取り出した三門さんは、私の顔を見るなり申し訳なさそうに眉根を寄せて笑う。

