何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。

そう言われたのでソファにゆっくりと腰掛けると、中井くんがリビングから出て行った。

ソファ、ふかふかだなあ。うちにはこんなものないから、なんだか新鮮だ。

私の家は、お母さんと私だけなので、2LDKの決して広いとはいえない賃貸アパートだ。まあ、それでも不自由はしていないし、私の部屋もあるので、特に不満はない。

でも、きれいでおしゃれな一軒家、ちょっと憧れちゃう。

中性的な美形で、身につけているピアスから察すると、センスも良さそうな中井くん。

この家は、いかにも中井くんが住んでそうだな、と思う。


「パーカーくらいしかなかったけど、いいかなあ」


リビングに戻ってきた中井くんが持ってきてくれたのは、黒で無地のパーカー。フルジップタイプで着やすそうだった。


「全然大丈夫! ほんと、ありがたいよ」


正直、制服に付いたトラ子の血を隠せればなんでもよかった。


「そうー? あ、しかも折原さんにはでけーかも」

「小さいよりはいいんじゃない?」

「それもそっか。ーーはい」


中井くんが差し出したパーカーを受け取ると、私はそれを羽織ろうとする。しかし私はあること気づいて手を止めた。


「パーカーに血が付いちゃうかも……」